いびき、睡眠時無呼吸症候群
現在、日本人の2,000万人は、寝ているときにいびきをかくという事実が分かっています。そのうち200万人には睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Symdrome:以下SAS)の疑いがあるといわれています。こちらでは、いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてご説明いたします。
いびきにご注意
いびきは「睡眠中の呼吸時に、柔らかな口蓋と口蓋垂(のどの奥に下がっている突起)を交互に震わせる音である」(スタンフォード大学のホームページ『快眠』より)とされます。つまり、のどが振動してる状態ですが、のどの気道がさらに狭くなり、閉じられてしまって息が吸えない状態になるのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。これは、最悪の場合は命に関わる症状です。もっとも、一般的ないびきはSASのような命の危険はありませんし、慢性的な疲れの結果でもありません。問題は、いびきの音です。
2003年、エーザイ株式会社が20〜30代の既婚女性158人に行った「夫のいびき」についての調査では、9割の回答が「いびきをかく」で、そのうち8割が「夫のいびきを何とかしたい」という結果が出ました。しかし、ほとんどの場合、本人には自覚がないのです。
いびきをかく人は一緒に眠っている人を不眠にしてしまうことも十分認識すべきなのです。
自分はどうなのか、また家族はどうか、お互いにチェックしておきましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、一夜の睡眠で無呼吸状態が30回以上起こるもの、つまり睡眠1時間あたり無呼吸の平均回数が5回以上のものをいいます。SASは、心臓や循環器の様々な疾患を合併することが多く、SASの患者の半数に慢性高血圧が見られます。また、睡眠中にのみ生じる心臓不整脈は、SAS患者ではごく一般的であり、重症になると低酸素血症と結びつき、悪性不整脈や、突然死になりやすいと言われています。いびきさえも疫学的に心筋梗塞や脳卒中の頻度を増加させたり、腎臓機能を阻害することも知られています。
SASを疑う場合のチェックポイントとして、まずは「いびき」があげられます。音がとくに大きく、共に窒息音が混ざると危険です。朝起きて、シーツがひどく乱れているなら、無呼吸の可能性がかなり高いでしょう。
次に、「日中の過眠」です。静かでリラックスできる状況に置かれるとうっかり眠り込んでしまう、単純な作業になると何度も瞬間的な注意力低下が起こる場合等は、無呼吸による夜間睡眠の分断からくる眠気が引き起こしている可能性があります。
夜間睡眠の分断は、焦燥感、不安、攻撃性や抑うつ気分の増加等性格の変化を引き起こします。覚醒時の口や喉の渇き、朝起きた時に頭痛がする場合も、SASの疑いがあります。
SASが肥満、男性、加齢と強く関係していることはご存じの方も多いと思います。成人では男女比が8:2となっていますが、年齢が高くなるにつれて男女比は近くなります。閉経後の女性では、特にその比率が高まるとの報告もあるので注意が必要です。
いびきと枕
一般的には「高い枕で寝るといびきをかく」という認識が強いようです。確かに高すぎる枕は、気道を閉塞してしまうため、いびきの原因となります。「横向きで寝れば、いびきは治る」ということから、横向き用の枕が市販されています。これも気道確保の面からすれば、合理的と言えます。しかし、快眠のためには寝返りがとても重要になってきます。横向き用の枕の場合、寝返りがうまくうてなくなるため、正しい睡眠という観点からはみると不合理といえるでしょう。
たった5mm、枕の高さを調整するだけで、いびきがピタッと治る興味深い例があります。また、いびきが改善されるだけでなく、快眠へと導く枕の高さはとても大切です。単に気道が確保されるという物理的な条件だけでなく、精密な神経の調節機構が関係していると考えられます。適切な高さの枕で眠ることで、いびきが治るだけでなく、心身をリフレッシュできることが実感できるはずです。



