睡眠のメカニズム(〜人は何故眠るの?〜)
私たちの睡眠と覚醒のリズムは、環境変化と脳内にある調整機構の両方の作用を受けながら、微妙なバランスで成り立っています。こちらでは、人はなぜ眠るのか、質のよい眠りを得ることでどんなことが改善されるのか、睡眠のメカニズムについて詳しくご説明します。
睡眠中の働き
人間の理想的な平均睡眠時間は「8時間」といわれています。1日24時間として、その3分の1は睡眠時間にあてるのが理想ということになります。毎日きちんと理想どおりの睡眠をとるとすれば、人生を80年と考えると、24年間は眠って過ごすことになるのです。
睡眠を定義するとすれば「ゆったりと身体を横たえ、重力に逆らわない状態で静かに過ごす時間」です。
とは言っても、脳や身体が完全に活動を停止してしまうわけではなく、起きている間に活動している部分を休め、生命維持に必要な活動を行っている状態となっています。
成長ホルモン
深い睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。誰もが昔よく聞かされた「寝る子は育つ」という言葉は、事実なのです。もちろん大人の場合も、身体の組織の新陳代謝や再生を促し、疲労回復をもたらします。「寝不足でお肌がボロボロ」というのは、まさに睡眠が足りず、新陳代謝や再生がきちんと行われない状態のことなのです。
免疫機能
睡眠は、免疫機能とも関連があります。風邪をひいた時等に、いくらでも眠れるという状況は、免疫機能を担当する白血球の中にあるサイトカインという成分のしわざです。ウイルスの増殖を抑えて体力の回復を図るため、サイトカインが私たちの身体を深く眠らせようと働きかけているのです。
脳内の情報処理
睡眠中に、日中に体験したこと、学習した内容を記憶として整理します。学生時代、試験前に慌てて徹夜で勉強した経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。しかし、その詰め込んだ知識や情報を記憶として脳に定着させて活用するためには、十分な睡眠が必要だということが近年の研究で明らかになってきました。
睡眠と覚醒
「睡眠」と「覚醒」をコントロールしているのは「脳」です。脳内に睡眠中枢があり、その働きにより生物は眠るとされています。睡眠を調節するメカニズムには、2つの機構があります。「恒常性維持機構」と「体内時計機構」です。「恒常性」というのは、体内を一定状態に保って生命を維持しようとする働きのことです。
恒常性維持機構
日中、私たちが目覚めた状態で活動していると、体内に睡眠促進物質がたまり、それが引きがねとなって眠気を引き起こします。しかし、もしその時に眠ってしまったとしても、ずっと眠り続けることはありません。このように睡眠と覚醒が交互に訪れるように保っているのが「恒常性維持機構」です。この働きは、時刻には関係がなく、覚醒していた時間の長さ、つまり睡眠不足の度合いにより決められます。睡眠が足りない時にはこのメカニズムが作動し、長く深く眠ろうとするわけです。
体内時計機構
一方「体内時計機構」は、時刻依存性のメカニズムです。十分に眠った翌日でも夜になり、一定の時間になると、自然と眠気がやってきます。これは、睡眠が始まるタイミングを私たちの脳の中にある体内時計が管理しているからです。
目覚まし時計が鳴る前に自然と目が覚めることがありますが、これも体内時計がその人の毎日の生活リズムを正確に記憶し、睡眠と覚醒のスイッチを切り替えてくれているからなのです。
しかし、体内時計はとても繊細な一面も持っています。様々な刺激や条件によりズレを生じたり、微妙なズレを修正したりしています。
刺激となるものには、例えば食事や運動、疲労精神ストレス等数限りなくありますが、もっとも大きな要素は「光」。まぶしい朝日、夕暮れ時の薄れゆく光、きらびやかな繁華街のネオン…。こうした光が全て体内時計を狂わせる要因となっているのです。
メラトニン
不眠症や時差ぼけの改善物質として、「メラトニン」というものがあります。これは、脳の松果体という部分で分泌されるホルモンですが、光の刺激と正反対の働きをします。夕方から夜に多く作られ、朝になると全く作られなくなります。このことから、メラトニンは脳の睡眠中枢に作用する物質と考えられ、朝になり、作られなくなるのは、覚醒の合図なのでしょう。



